女性に多い冷え症、しもやけ、冷えによる生理不順、生理痛の悪化に漢方が有効な事を説明しています。
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(その当時に書かれた物をそのまま転載していますので、時候の挨拶等は無視してください。) 皆さん、新年明けましておめでとうございます。 昨年は大地震・オウム事件と大変な年でありましたが、今年は良い年になって欲しいものであります。 さて今回は『冷え症』と漢方をとりあげました。特に女性に多い症状ですが、結構女なんだからこんなものだろうとあきらめていらっしゃる方が大半ではないでしょうか? 一般に冷え症は、体に熱も出ていないのに、おもに腰や手足にだけ『冷え込む感じ』が強いもので、場合によっては頭痛、めまい、のぼせ、イライラ感を伴う事があります。 原因としてはホルモン分泌障害、低血圧症、貧血、体力不足(カロリー不足)などが考えられますが、現代医学的な検査ではわからない場合のほうが多いようです。 漢方的には、 @風寒によって身体の表面の陽気の流れが阻害されて、冷えや痛みを感じる。(これは 夏のクーラー病、冷房病のようなもの) A身体の陽気の元が減衰していて、いつも身体全体が冷え、夏は冷房に耐えられず、 冬は寒くてたまらない。背中に真綿を入れ、電気座布団をつかうなど、重症の冷え症。 割合お年寄りに多い。 B血が少なく、また血が冷えている、これは冷えると下腹部痛、腰痛、頭痛等を起こしや すく、また手足の冷えも強く、よくシモヤケが出来て困るという人に多い。 Cお血(悪い血の停滞)があり、女性では多くは月経異常があり生理痛などもみられる。 唇の色が悪く、舌の色も紫がかった部分がみられる事がある。冷えと共にのぼせ(冷え のぼせ)やイライラ感、精神的不安感、頭痛、肩こり、腰痛などの症状がある場合もみ られる。 Dその他、おなかが弱く、よく冷えると下痢する人。また水毒体質者は、腰以下が冷えて 重く、小便はよくですぎて困る人。また小便は少ないが立ちくらみやメマイがある人。 などなど様々に体質を考慮して漢方薬を選んでいくわけです。漢方の処方によって、身体の中から温めたり、お血や水毒を去る薬を服用していくと、多少の時間はかかってもじょじょに楽になっていき、完治する場合も少なくないと思います お悩みの方はお気軽にご相談下さい。 1994年あたり(オウムの事件のあった年) ![]() ![]() |
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手足が冷える、足や腰が冷えると訴える人は結構多く、またのぼせがあって足が冷えるというものもあります。 寒冷を訴える患者さんに用いる処方は非常に多くありますので、少し代表例を出しておきます。 漢方の有名な原典の中に『傷寒論』がありますが、その中の『厥陰病篇』に次のような条文があります。 ●『凡そ厥(けつ)するものは、陰陽の気、相順接せず、すなわち厥をなす、厥は手足の 厥冷の者是なり』 手足の冷え上がるものを厥冷といい、これは陰と陽の気が順当につながらない為だと説明しています。厥陰病は上半身が熱で下半身は冷える病気といえます。 ●『手足厥冷、脉細にして絶せんと欲する者は、当帰四逆湯之を主る。もし其の人内に 久寒有る者は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯之を主る』 手足が冷えて脉が微弱となっている人で、次のような人には当帰四逆湯が良いと言うことです。(慢性化しているものは当帰四逆加呉茱萸生姜湯) 例えば、しもやけ・座骨神経痛・脱疽・レイノー病・皮膚病で鬱血チアノーゼをおこしたもの・諸神経痛・疝気と昔呼ばれた腸疝痛・腰痛・子宮および付属器からくる腹痛・冷えると腹がはり、ガスがたまり下痢をおこしたりするもの・手足が冷えて水につけられない・頭痛で頭が冷えるもの等に応用されます。 特に『しもやけ』『冷えると悪化する生理痛』『冷えると下腹部がひきつれ痛む』ものに効果的です。 この痛みは慢性に経過するもので寒冷によって悪化し、疼痛は主として下腹部に多く(女性なら生理時)、腰痛・背痛・頭痛・四肢痛を伴うことがあります。 女性に比較的多いのですが、これはどうしても陰血不足になりがちで、陽気の不足に乗じて血の通り道に寒の邪気を受け、血行が阻滞される事が多くなりがちだからです。 ただ身体を温める生薬だけでなく、気を補い、血を養い血行を良くする配合が必要となります。 これ以外にも多くの処方があり、それなりに使用する病理が異なりますので、冷え性でお困りの方は一度ご相談ください。 1997年11月 ![]() ![]() |
![]() ![]() ちょっとむつかしい話 |
何も女性ばかりではありませんが、『冷え性』で困るというほどのものはやはり女性が多いようです。現代医学では『冷え性』というのはあまり問題にされていないようですが、漢方では非常に重要な概念です。 漢方の有名な古典に『傷寒雑病論』がありますが、その中の金匱要略婦人雑病にこのような文章があります。 『婦人之病、因虚積冷結気、為諸経水断絶、至有歴年、血寒積結、胞門寒傷、経絡凝堅。』 婦人の病は大まかに言うと虚弱体質、寒冷による気の滞り等で、無月経になったりする。経過が長くなると、寒冷で血が流れにくくなり、子宮が寒冷でやられ、気血の通り道である経絡が渋滞するようになる。と婦人の病気の原因と病理機序が書いてあります。 『冷える』ということが、気のめぐりを阻害し、ひいては血の停滞、水の停滞をまねきますと説明しています。 またここでいう虚弱体質というのは病気などで体力を落としたり、過度のダイエットで体重が落ちてしまった場合などもその範疇に入ります。実際やせ過ぎで無月経になっている女性を何人も見ています。 大きく分類すると @先天的に虚弱、慢性病や老化により身体を温める力が衰えている(陽虚…陽気の欠乏) A寒気湿気が侵入したり、陽虚によって冷えだけでなく水分も停滞している Bもともと血が少なく、その虚に乗じて寒気が侵入して血の流れが悪くなる。(血虚受寒)その他に肝鬱気滞やお血、湿滞(水は冷える性質)がからんできたりします。 @は圧倒的にご老人に多く、一般にいう老化現象(漢方で腎虚)としてあらわれる場合が 多い。 Aは魚屋・八百屋・漁師・水中作業者など湿気が多く冷たい環境で仕事する人に多い。 『水中に座っているように冷たい』とか『腰以下が冷え、五千銭を帯ているように腰が重たい』と金匱要略に表現されています。 Bは特に女性によく見られます。手足の末梢、足の内側、下腹部や陰部の冷えや痛み、寒 冷刺激で下腹部痛・生理痛悪化などがあります。 漢方の効果が感じられるのには個人差がありますが、短期間では無理な事が多いので、少し根気よく服用されたほうが後々も体質が安定してくると思います。 1999年年12月 ![]() ![]() |
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