漢方薬は一体どういうものに有効なのか?・・・主として当時ミニコミ誌に書いていた記事を書いております

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様々な病気と漢方

季節感や時候の挨拶は記事掲載当時のものです。
ご了承ください。

最初に漢方薬のお話  

 この新聞をお読みになっている皆さん、始めまして!
漢方専門の健勝堂薬局の薬剤師・橋爪と申します。縁あって、このコラムに漢方のお話を書かせていただくことになりました。どうかよろしくお願いします。

難しく書くと、人体は小宇宙であり、自然の中で生かされている存在といわれています。自然がおかしくなれば人間の方もその影響は免れないものです。また、逆から見れば文明の進歩で便利になった分、自然に逆らった生活、たとえばエアコン等で一年中同じような温度環境、冬も夏も冷飲食が多いなどの生活や、自然環境を汚してきた結果(ダイオキシン等の環境汚染、環境(汚染)ホルモン)、様々なつけが、この私たちの身体に現れるのも十分考えられるところです。
そこで自然の一部である生薬(植物、動物、鉱物等)を使用し、身体の調和をとることによって病気に打ち勝つ治療体系を持つ漢方薬が、以前より皆様の関心をなっていることは承知いたしております。
さて、むつかしい話はちょっと、おいておきます。
以前こんな事がありました。
お客様が入ってみえられました。

『いらっしゃいませ、どういたしました?』と聞きますと、
『何か肝臓に効く漢方薬を下さい』
『はい、いま少し時間がありますか?今あなたがどんな症状で、どういう体質なのかお聞きしてから、お薬を合わせたいのですが…』
『いや、病院で肝臓が悪くなっていると言われたもので、とにかく肝臓に効く漢方薬を下さい。急いでいるのだけれど』と早く薬を出せとせかされます。
もちろん、その時期時期に流行る健康食品などは(2003年現在では、ウコンとか)ありますが、漢方薬となると処方です。
なんとか少しでも情報を得ようと努力しようとしましたが、急がれておられましたので、結局『またお時間のあるときに、ゆっくりとご相談に来てください。』という事になりました。
『なんて、不親切な薬局だ!』なんて思われているかもしれません。
 薬局でお薬を買われる場合、漢方薬にかかわらず、一般のお薬、健康食品でもよく自分の症状、体質を薬剤師の方に相談してからいただいたほうが、お客様にとって、有益なことと思います。そのためには最初は結構時間もかかりますので、特に先客さんがいらっしゃいますと、初めての方は待ち時間にイライラされることもあるようです。
漢方の場合、簡単に言えば、お客様の外見の状態、舌や舌の苔を見たり、一番訴えたいこと、自覚症状とその人の体質(特に、寒、熱、陰、陽のバランス、五臓六腑の関連)、飲食の不摂生等を参考にして、判断しています。病名はとても参考になります。ですが、病名だけで、即漢方処方が決まるわけではありません。なんでもコンピューターでてきぱきとすばやく出来る時代に、なんとも旧時代式ですが、これは当分変わりそうに無いみたいですね。この一年も皆様が幸せでありますように。
漢方のご相談はお気軽にどうぞ。
1994年6月分

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漢方はどんな病気に有効か?

お客様とお話をしていて、意外と漢方薬のてきおうが知られていないという事に気が付きましたので、今回はどのような病気に有効なのか書いてみたいと思います。参考として、北里の東洋医学研究所でのデータを抜粋させていただきます。


@アトピー性皮膚炎
A気管支ぜんそく
B慢性関節リウマチ
Cアレルギー性鼻炎
などの、免疫関係、アレルギーがらみの疾患。ステロイド療法の適応のある病気に漢方がまた適応する。


D高血圧・糖尿病
E慢性肝炎
F腎疾患・腎機能障害
などの慢性疾患で長期管理が必要とされるものは漢方は安全性が高く有用性がある。

G神経症
H自律神経失調症
Iうつ病
J睡眠障害
K疲労倦怠感
などの不定愁訴・心身症的疾患。

L腰痛・骨粗しょう症
M変形性膝関節炎
N耳鳴り・めまい
O前立腺肥大
などの老化を基礎にした高齢者の疾患。

P虚弱体質の改善
Q女性の冷え性・更年期障害・子宮内膜症・婦人科疾患
R悪性腫瘍などの手術前後の生活の質の改善
など、これらには現代医療に決め手になるものが少なく、漢方薬の有用性が期待されています。
ここには出てきませんでしたが、慢性の胃腸疾患も非常に有効です。どうしても止まらない下痢というのを何度も治療しております。
 
当薬局のデータでは、十年前は糖尿病・肝臓病のご相談が多かったのですが、近年はアトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー性疾患、そして、癌などのご相談が随分増えている印象です。癌に関しては今までかなり数をこなしています。
時代、環境の変化が病気の性質に影響を与えているようです。
1998年12月分

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漢方薬って何?


もう長らくこの漢方薬のコーナーを受け持ちさせていただきながら、何を今さらというようなタイトルですが、ご相談を受けるたびに気にかかることが結構ありますので、今回は漢方初めてという方には特に読んでいただきたく思います。

【その一】
ときどき私がこのコーナーで漢方を飲んでいただいた方の「実例」を書いております。名前、年齢等は仮のものにしてありますが、内容は事実を、成功も失敗も正直に書いてあります。
それで書いてある病気や症状が同じだからといって、その「実例」と同じ薬を下さいと言われる方が結構おられます。西洋医学ではある程度、病名で薬が決まるものですが、たとえば咳には咳止めを下さいと薬局・薬店で言えば、メーカーは違えど内容はよく似た薬になります(薬局・薬店様、批判ではありませんので、お許しを)。
 ところが漢方薬では咳という症状ひとつをとっても、体質により選択する薬はかなりの種類が考えられます。そのため咳の状態以外にも色々な事を聞き出して選び出すことになります。それゆえに私は「実例」を含めこのコーナーには特例を除き、漢方薬の名前を書いておりません。漢方薬は個人個人のお薬です。家族兄弟といえども同じ病気だからといって、
自分の飲んでいる漢方薬をたとえご家族の方であっても他人に分けるのはお止め下さい。

同じ理由で、テレビや新聞、雑誌等で「この病気にはこの漢方薬が効く」ということが言われたり、書かれたりしているのをそのままうのみにして、名指しされた漢方薬を購入しようとするのも考えものです。ナスのへたの黒焼きを歯ぐきのマッサージに使うぐらいは問題ありませんが…。
 過去に肝臓病といえば「小柴胡湯」と言われ、病院で使用され続けた結果、多くの副作用の事例が報告されたことがあります。

【その二】
漢方薬には副作用がない。と思い込んでいらっしゃる方がいます。ひょっとすると昔に漢方薬局が商売優先でそんなことを言ったのかもしれませんが、そのようなことはありません。先に述べた「小柴胡湯」の例のごとく現実にあります。理由としては体質の把握不十分、その結果の漢方薬選択ミス。それと不運な例ですと漢方薬を構成している数種類の薬草の中に、なにかアレルギー等があり身体に合わない物がある。などが考えられます。

漢方薬をご希望の方は、是非とも真面目に漢方を研究している所で、まずはご相談だけでもしてみて下さい。きっとご相談だけでも気軽にしていただけると思います。

2001年4月分

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動脈硬化症と痴呆症
漢方薬局に相談に来られる方は、比較的中年以降の方が多いせいか、どうしても動脈硬化を気にしている方が多くなります。
動脈硬化症は、コレステロールなどがたまって動脈壁が厚くなって、弾力性が無く硬くなり、血液の通る部分が狭くなった状態と言われています。

その原因としては、多くは成人してからの働き盛りの頃からの生活態度に大きく影響されているようです
(現在では子供の成人病(:現在では生活習慣病という。)の予備軍がかなり増えています。子供の糖尿病などですね。)

◎脂肪食の摂り過ぎで野菜不足
◎高血圧が持続進行状態にある
◎ホルモン異常
◎精神的ストレス
◎遺伝的要素
などがあげられます。
最近ではカルシウム不足もその大きな原因の一つ要因とされているようです。

脳に動脈硬化が起こると、物忘れ・めまい・頭痛・耳鳴り・手足のしびれ・脳卒中(脳出血、脳梗塞などの総称)などを起こすことがある。
心臓の動脈(冠状動脈)では、胸の圧迫感・動悸・息切れ・胸がしめつけられる感じ、病気で言えば、狭心症(異型狭心症は別です)、心筋梗塞などを起こす。
その他、腎動脈や下肢動脈にも硬化症を起こします。糖尿病などの病気は特に要注意です。非常に動脈硬化の進行が早く、糖尿病性網膜症、腎動脈硬化症(腎臓透析のうち、約3分の1が糖尿病性腎症!)、など恐ろしい合併症があります。詳しくは糖尿病のところでお話します。

さて、痴呆症の原因の一つに、やはり脳動脈硬化型のものがあります。
最初に食事の注意からですが、今からでも普段から野菜を多く取り、タンパク質の補給は肉類より全体を多く食べられる小魚類を中心にして、また植物性タンパクの豊富な納豆などの豆製品も積極的に取り入れたい。
ただし脳梗塞などの後で、病院から血栓塞栓症の治療、予防の目的で抗凝血薬(ワーファリンなど)を服用されている患者さんは『納豆やクロレラ』などのビタミンKを多く含む食品を摂ると、お薬の効果が弱くなるので控えてください。この場合当薬局扱いの『NKCP』というナットウキナーゼでは、ビタミンKを除去してありますので、これなら併用できますね。

痴呆症においても、脳動脈硬化が原因で、典型的な経過の進んだものは効果は期待しがたいのですが、初期で軽度のものならば、症状の改善を目指して漢方薬、健康食品を使用することは意義があります。特に『なんとなくおかしい』という段階であると、時として驚くような改善を見ることがあるので、試みる価値は十分にあります。

動脈硬化症・高コレステロールなどの改善・予防にある種の腸内細菌が関係しているといわれ、よい機能性食品も販売されていますので、普段から摂られているといいでしょう。ご相談はお気軽にお越しください。
1996年6月分
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老化と漢方その1

高齢化社会を迎えたわが国の現状は、私の周りを見渡しても本当に深刻な状態になっていると思われます。ご高齢者本人のご病気の苦しみのみならず、その状態によっては介護に大変な経済的負担、家族のご苦労が生じています。
そこで老化からくる体の衰え、また現実にすでにご病気になっているご高齢者のQOL(生活の質)の向上に漢方薬が役立つと期待されていますので少し書いていきたいと思います。

ご高齢者の特徴は一人で多くの疾患を持ち、また慢性的な疾患が多く、病気に対する抵抗力が低下していることなどが上げられます。漢方ではそうしたことをふまえご高齢者の全身の活力を高め、免疫力高める方法を考えて処方を選択していきます。当然服用期間は長く続けていくことになります。

@老化予防と病気に対する抵抗力をあげる代表

八味地黄丸(八味丸も同じ)が代表です。

漢方で言うところの『腎虚』の状態に使用します。先天の生命力が弱まった状態です。加齢に伴い様々な現象が起きてきますが、たとえば老眼、白内障などの視力低下、腰痛、下肢無力、夜間多尿(昼間少ない)、前立腺肥大、老化に伴う動脈硬化、その他糖尿病などに応用されます。

50才を越えたらもうお勧め年齢かと思われます。

ただこの八味地黄丸は地黄という生薬が使用されており、この生薬の性質上胃腸の負担を感じる人には使いにくく、飲んでみて食欲がなくなったり、下痢するような人は違う手を考えなければなりません。漢方の専門家ならある程度その人を見て判断できますのでよく相談してください。 胃腸が弱いタイプで八味地黄丸系統が飲めない人は、腎の先天の気を補充する次の脾胃(胃腸)の働きを助ける方法が良いでしょう。

A消化吸収力・免疫力を高める。
漢方で言うところの『脾胃』は後天の本と言われ、先天の本の生命力を補充して補強・維持させていく働きがあると考えられています。よってその胃腸の働きが衰えている人は『補脾薬』を中心に体質の改善をしていきます。そうすることで先の八味地黄丸系統も摂れるようになる人もおられます。同時併用が理想と考えています。

ご相談はお気軽にどうぞ。

平成12年8月分
 
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老化と漢方
(痴呆症について)

 痴呆症を老化と一緒に語るのは、本来間違っていることを最初に断っておきます。

痴呆症はアルツハイマー型痴呆や、脳血管障害型などの病気ですが、いわゆるボケは正常な老化による知的機能の低下(良性?の物忘れ、反応速度の低下など)のことで、年齢を重ねることでいずれほぼ全ての人にやがて訪れるものです。その判断は当然医師がいたします。ただ脳動脈硬化型もあるのでここにいれました。

漢方が痴呆症に効果があるということは、漢方家よりも現代医学の科学的な研究で実際に作用することが判り注目されています。特に女性は閉経以降(更年期)女性ホルモン欠乏により骨粗しょう症の急速な進行と高次元精神活動の低下(極端な場合アルツハイマー型痴呆)を招きやすい傾向があります。そのアルツハイマー型に当帰という生薬が主薬の当帰芍薬散という漢方薬が有効なことを北里研究所が発表しました。といってこれを読んでいる人で『これは買いに行かねば!』と決してあせらないで下さい。アルツハイマー型と判断するのはお医者さまですから…。またアルツハイマー型には最近進行を抑制する新薬が出ており、病院で処方されています。

またある植物のエキスが有効ということで脚光を浴びています。外国では医薬品になっておりますが、日本ではあくまでも食品ということで、詳しいことは薬事法違反になりますのでここでは説明は差し控えさせていただきます。

アルツハイマー型以外のものに脳動脈硬化型などがあり、漢方ではよく患者さんの体質を考えながら処方選択していきます。特にカギカズラという生薬は脳血流を良くし、脳動脈の攣縮(痙攣)を防ぎ、抗うつ作用もあることがわかっており、それを含む漢方処方は実際に痴呆症にかなり有効と思われます。

以前テレビで「痴呆と漢方」の特集番組があり、入院するほどの病状でしたが、改善して自宅に帰っている例も紹介されているのを見たことがあります。ただ一般にはなるべく早い段階、なんとなくおかしいという段階で使用したほうがずっと成績は良いのです。

当薬局でも大変喜ばれた例があります。ただ継続服用しておかないとまたゆっくり逆戻りするようです。さきのカギカズラを含む漢方薬は、効かすためにはチョッとしたコツがあります。

お困りの方はご相談ください。やってみる価値はあると思います。

1999年9月分
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心臓神経症、心悸亢進(動悸)と漢方

 動悸は心臓の鼓動を早く、または強く感じる自覚症状です。大体は次の場合に起こります。

@脈が速いとき
A脈が乱れたとき(不整脈)
B心臓の拍動を強く意識するとき

心悸亢進(動悸)は、心臓に器質的変化があって起こるものの他に、神経性のものがあり、甲状腺機能亢進症や貧血、発熱の際にもみられます。案外心臓そのものの病気でない場合が多いようです。先ずは専門の病院で検査されることが必要ですが、むしろ先にあげた神経症(更年期の不定愁訴も含む)のものやその他の原因が多いと思われます。

階段を昇ったり、坂道を歩いたときに動悸、息切れや呼吸困難という症状があれば、心臓を疑って注意しましょう。軽度の心不全の傾向がみられる事が多いように思います。肺気腫などの病気も考えられます。ただ漢方的には肺は相傳(そうふ)の官といって、君主の官である心臓を補助する関係にあります。心臓は血液を全身に巡らすのですが、そのエネルギーとして肺の気の力を必要としているわけです。
この時に症状として起こる息切れや呼吸困難も肺そのものより心臓を助ける方法で楽になっていらっしゃる方は、当薬局では多くいます。

話を元に戻して・・・
神経症としての動悸は、胸で打つというものや、おなかの真ん中で打つもの、へそ周辺で動悸を打っているものがあります。寝転んでおなかやへそ周辺を手の平で押さえてみるとドキドキと結構はっきりと感じられる人もいるはずです。
発作的に来るものは、非常に不安感があり、死ぬのではないかと言う恐怖感に襲われることもあり(注:パニック障害と最近は言われる)、まためまいを伴うこともあるようです。
また『のど』に球のようなものが引っかかっているようだと訴える人もいます。不安のために、一人で道を歩けないとか、家にいるときでも、誰かそばに人が居ないと動悸がして気分が悪くなる等な・・・
このような動悸や症状がある人はまずは漢方薬をお試し下さい。このような心臓神経症に使用される漢方薬の処方は何種類かあり、場合によっては組み合わせたりして個人の体質に合うようにしていく必要があります。
ご相談はお気軽にどうぞ。

1997年6月分

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心悸亢進(動悸)や不整脈と漢方

前回は心臓神経症としての動悸の説明でしたが、今回は甲状腺機能亢進症や貧血、慢性疲労(漢方では虚労)による動悸を取り上げます。
古くから脈の結滞や不整脈に使用されている漢方薬に『炙甘草湯』という処方があります。
この処方が記載されている原点は有名な『傷寒雑病論』で、その条文を大体の日本語に約すと次のように書いてあります。

●『傷寒、脈結滞、心動悸するは、炙甘草湯之を主る』

●『虚労不足、汗出でて悶し、脈結、心悸するを治す。行動常の如きは、百日を出でずして危うく、急なるものは十一日にして死す。』

●『肺萎涎唾多く、心中温温液液(胸に何か詰まったようでうんうんと吐き出したいがうまくいかなく気持ち悪い様子)たるものを治す。』

現代的にこの漢方薬の向くタイプの説明すると、
●栄養が衰えがちで、胸(肺)の乾燥感が強く、皮膚も乾燥しがちで、疲れやすく、手足の煩熱(手足の裏が煩わしいほどにほてる)、口渇き、大便はどちらかというと便秘がち、息つきが熱く、顔面のぼせや汗をかきやすい。その上で心悸亢進、あるいは脈の結滞、不整脈と息切れなどを訴える人に向いている。
 
少なくとも胃腸が弱い、下痢しやすい人には不適ですね。
甲状腺機能亢進症(バセドー病)や心臓病としての心悸亢進症、不整脈に使用される事があります。
この『炙甘草湯』以外にも、神経症があるようなら『柴胡加竜骨牡蛎湯』、『桂枝加竜骨牡蛎湯』、『抑肝散あるいはその加味方』、よくお腹が張ったり、お腹が痛くなるタイプには『小建中湯』などが、そして貧血などで動悸する場合は連珠飲や苓桂朮甘湯などもよく使用される処方です。
いずれにせよ、漢方の専門家によく相談する必要があります。
(今回は、珍しく漢方の処方名を書きました。ご自分で選ぶより、なるべくご相談ください)

1997年7月分


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パニック障害と漢方

最近よく目に付く新しい病名に『パニック障害』というものがあります。

どんなものかと言うと、突然強い不安感とともに、激しい動悸や逆上感、吐き気、息切れ、めまい、頭痛などに襲われたりします。この発作は救急車のお世話になるほどのものがあります。さらにこの発作が時々起こるようになり、いつなんどき起こるか予測できないため、いつも不安におびえるようになってしまいます。電車、車、エレベーター等では不安感が特に強くなる事多いようで、次第に自宅を離れる事すら恐怖を覚えるようになる人もいるようです。もちろんこれは決まりきった症状ではなく人それぞれ違っているものですが…。

 さてこのような症状に対して漢方ではどのような考えがあるのでしょうか?

《金匱要略》という漢方の古典医学書に奔豚気病(ほんとんきびょう)という病気について書かれています。

チョッと難しいですが原文を書いてみましょう。

『奔豚病従少腹起、上衝咽喉、発作欲死、復還止、皆従驚恐得之』

訳しますと、奔豚というのは下腹部で気が突き上がるような痛みを感じ、続いてその気が下腹部から心臓部ないし喉元へ上ってくるのを感じます。このとき患者は相当に苦しむ(死んでしまうのではないかと思うくらいに!)が、しだいに突き上げてくる気がおさまれば症状も徐々におさまり平静になる。この原因は驚き恐れる事 (精神的ショックなど)によって起こるという具合になります。この文章の中で、死んでしまうのではないかと思うぐらいに苦しむが、発作がおさまれば平静に戻ると言う点が『パニック障害』という現代の病気に非常に類似していると思います。現実にこのような考えから漢方を応用して良くなっている人たちがおられますので、この奔豚気病もパニック障害の一つの形ではないかと思われます。余談になりますが『奔豚』は豚が駆け走るという意味で、下腹から上に向かってドッドッドッと気が突き上げてくるのを表現していると言われています。

何となくかわいい感じがするのですが、パニック障害の人にとってはとんでもない『憎たらしい豚』という事になるでしょう。

お困りの方は一度漢方薬をお試しください。

2001年2月分

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不整脈・パニック障害・漢方


不整脈を漢方でと言うと、ちょっと無理があるのではと思われるかもしれません。もちろん重い症状の不整脈に関しては、現代医薬品が最優先されますが、原因が過労や自律神経などの異常によるものであれば、漢方はもっと応用されていいと思います。中国医学の言葉では、『驚悸、セイチュウ(漢字がありません)』といわれる病名に含まれるようです。意味は簡単に言うと、心臓が急に飛び跳ねるように動いたり、驚き不安を感じ、自分では意識的には抑制できない。また不整脈を現す病状をいうようです。言葉の意味としては、『驚悸』の方は、常に精神的な変動、驚きや恐怖、疲労などにより誘発されます。発作のないときは普通の人となんら変わりません。セイチュウはもっと症状は重い。ここまで書くと、この驚悸などは、最近非常によく言われる『パニック障害』とよく似ています。おそらくその範疇に入れてもいいと思います。

さて、原因は実に複雑ですが、簡単な表現にしてみます。

@ 心気(心臓のエネルギー)の不足。
心気の不足になると、正常な血液の運行が出来ず、心が養えず、動悸、息切れなどがおこる。

A 心の栄養不足。
先に書いたように、心臓も血液によって栄養を与えられているわけですが、病後の為に栄養が不十分、また栄養を作る元になる胃腸の働きが悪くて心への栄養が十分でない場合。

B  痰(身体の異常な水分)が停滞して、気の巡りを邪魔して、心の働きが不十分になる。
これには、臓腑として関係するものとして、心、肝、胃腸、腎などがあり、その関係は複雑で、ここでの表現は難しいので省略します。

C お血(血の汚れ、ネバネバ血の表現のような物)による血行不良。

D  心と胆の弱り。
古人は、間一髪で驚いた時などは「肝(胆)を冷やした」と言いました。古人は胆が冷えると驚きやすくなり、気分が不安定になると考えたようです。これには、先のBの痰が影響しているものも多いようです。また心は西洋ではハートと言われ、精神、心(こころ)という意味を持っていますが、東洋医学でもなぜか同じ意味を持っているところは、大変興味があるところです。あとは

E 肝と腎の栄養不足の影響。などがあげられます。非常に複雑です。

不整脈やパニック障害でお困りの方は、お気軽にご相談下さい。

2002年年8月分

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